会社の清算手続き(通常清算)について 

 会社の清算手続きには、通常清算と特別清算という2つの手続きがあります。前者は債務超過でない場合、後者は債務超過となる場合に行う清算手続きです。以下、通常清算の手続きについて簡単に説明します。

1 会社の解散と清算人選任の株主総会決議


 株式会社を解散しようとする場合、株主総会の特別決議が必要となります(会社法471条3号)。なお、1人会社の取締役が死亡した場合、株主総会の招集権者が不在ということになりますが、株主全員が同意すれば株主総会の招集手続は必要ありませんので、株主全員同意により株主総会を開催して解散の決議を行うことができま
す。
 また、会社を解散する場合、清算手続き行う清算人を選任する必要があります(会社法478条3号)。定款に定めがあればそれに従い、ない場合は株主総会の普通決議により清算人を選任します。定款に清算人に関する定めがなく、株主総会決議でも清算人が選任できない場合は、従前の取締役が清算人(法定清算人)に就任します。なお、法定清算人がいない場合には、利害関係人が裁判所に清算人選任の申立てを行い、裁判所が清算人を選任します。

2 清算人選任登記


 解散と清算人の登記を、解散後2週間以内に法務局へ申請する必要があります(会社法926条)。
 なお、清算人選任の登記には、清算人選任の決議をした株主総会の議事録、定款、株主リスト、清算人の就任承諾書が必要となります。裁判所により選任された場合は、裁判所の決定の正本が必要となります。

3 清算人の業務


(1)財産目録や貸借対照表の作成と株主総会の承認 
 作成した財産目録と貸借対照表の承認を株主総会で受ける必要があります(会社法492条1項・3項)。


(2)税務署などへ解散を届出
 税務署、都道府県税事務所、市区町村、社会保険事務所等へ異動の届出が必要となります。


(3)債権の届出を求める官報公告
 解散後遅滞なく官報公告(債権届出期間は2カ月を下ることはできない)をする必要があります。個別の債権者には、個別に催告が必要です(会社法499条1項)。


(4)解散事業年度の確定申告
 解散後、2ヶ月以内に税務署へ確定申告をする必要があります。なお、清算中も、各事業年度についての確定申告が必要となります。


(5)現務決了と資産の売却や債権回収
 現在行っている業務を決了し、資産の売却や債権の回収を行います。


(6)債務の弁済(債権届出期間経過後)
 全債務を弁済することができる場合は債務の弁済を行い、できない場合は、特別清算か破産の申し立てを行います。


(7)清算事業年度(解散の日の翌日から始まる1年間)の確定申告
 清算事業年度ごとに計算書類を作成し、定時株主総会で承認を受けなければなりません(会社法494条1項・2項、497条2項)。そして、清算事業年度終了の日から2カ月以内に確定申告する必要があります。


(8)株主総会で決算報告の承認と清算決了の登記
 清算事務が終了したときは、決算報告書を作成し、株主総会の承認を受けて清算決了し(会社法507条1項、3項)、2週間以内に法務局に清算結了の登記申請をします(会社法929条、932条)。そして、残余財産財産が確定した日から1か月以内に確定申告をする必要があります。また、税務署や都道府県税事務所、市区町村などにも異動の届出が必要となります。