改正会社法による会社補償について

  会社補償とは、役員等(取締役、会計参与、監査役、執行役または会計監査人)が職務の執行に際して負う損害賠償責任やその防御に要する費用を会社が負担する制度です。改正前も、会社と役員の委任契約の解釈により会社による費用負担等が可能として、会社補償的なことが行われることがありましたが、改正会社法で新しく規定されました。規定した趣旨としては、優秀な人材確保や業務執行の萎縮を防ぐというインセンティブ付与的な意味合いがあります。
 補償契約の内容は、①役員等がその職務の執行に関し、法令の規定に違反したことが疑われ、または責任の追及に係る請求を受けたことに対処するために支出する費用(防御費用)、②役員等がその職務の執行に関し、第三者に生じた損害の賠償責任を負う場合における損失(賠償金、和解金)になります。なお、補償契約において補償の範囲を改正会社法の定めより内容よりも限定することは可能です。
 補償契約の締結段手続きは、取締役会設置会社は取締役会の承認が必要となります。補償契約の相手方となる取締役は、補償契約の内容の決定については、特別利害関係取締役に該当すると考えられますので、取締役会の議決に加わることはできないません。よって、対象取締役が複数人いる場合で、対象取締役全員が抜けると定足数を満たさない場合は、対象取締役を除いて一人ずつ決議することになります。