特定商取引法、割賦販売法のクーングオフについて

 特定取引法は、訪問販売等(通信販売は認められない)の消費者が被害に遭いやすい類型について、消費者保護を図っています。ただ、同法26条で適用除外が設けられており、その中に「購入者等が営業のためにもしくは営業として締結する取引」があります。これに該当すると、クーリングオフできません。もっとも、同法26条の趣旨は、契約の目的・内容が営業のためのものである場合に適用されないという趣旨であって、契約者が個人事業主や法人であることをもって一律に適用除外になる訳ではありません。例えば、個人事業主などで事業の実態が殆どないような場合には適用される可能性はあります。なお、クーリングオフの行使は書面により行うと規定されていますが(特定商取引法9条1項)、口頭によるものでも裁判においてその事実を証明できれば、契約の解除が認められると考えられます。また、クーリングオフの書面の内容は、申込の撤回や解除の意思が読み取れればよく、厳格な文書である必要はありません。クーリングオフの書面をクーリングオフ期間内に発送すれば、期間内に到達しなくても有効です(特定商取引法9条2項)。
 消費者取引がおこなわれる場合に、分割払いや後払い(2カ月以上の後払い。翌月一括払いは含まれず)の契約を結ぶ場合があります。自分が所有するクレジットカードを利用せず、1回ごとに契約を結ぶ場合(以下「個別クレジット契約」といいます。)は、割賦販売法が定める一定の要件を満たせば、当該個別クレジット契約をクーリングオフすることができます。一般のクレジットカードを利用した場合は上記のようなクーリングオフの制度はなく、主契約に関する抗弁(主契約の解除等の支払いを拒絶できる言い分)を対抗して、支払いを拒絶することができます(割賦販売法30条の4)。もっとも、抗弁の内容に争いがあるような場合には、クレジット会社との交渉が必要になります。また、割賦販売法に基づくク―リングオフや抗弁も「営業のためもしくは営業として」行った場合や利用金額が一定以下の場合(4万または3万8千円未満)は適用除外となるので注意が必要です。なお、翌月一括払いの場合は、割賦販売法に基づく抗弁の対抗はできないので、信義則を根拠に交渉による解決を図ることになります。