築後10年程経過した床が変色したことについて、注文主が瑕疵ないし請負業者の説明義務違反を主張して争った事案(東京地判令和3年9月28日)

1 事案の概要

 建物引き渡しから約10年後に床の絨毯を敷いていた部分が変色したとして、請負業者に対し、瑕疵担保責任ないし変色の可能性について説明しなかった説明義務違反があると主張して争った事案。

2 裁判所の判断

(1)床材に瑕疵があるかについて 

 床材(木材)が紫外線や熱、水分等の外的要因により変化しやすいことは一般的に広く知られた事実であり、床材の絨毯下部の蓄熱も、絨毯に日光が当たること等による熱エネルギーによるもので、建物の引渡しから約10年が経過する過程で一般的な経年変化として生じたものであること、例えば絨毯等をめくって一定期間紫外線を当てれば元に戻る一時的な状態であること、床材がそもそも建築材料として使用できないような品質であるとはいえず瑕疵に当たらないとした。

(2)説明義務違反について

 床材の経年劣化については一般的に知られているところであり、パンフレットにも経年劣化について記載があったから説明義務違反もないとした。

3 コメント

 床材の変色が、日光が当たることによる熱エネルギーにより絨毯下部の蓄熱が生じ、経年劣化として変色したものであるとの床材メーカーの調査結果をもとに判断している。10年経過していることを踏まえると妥当な判断と考えられます。