大学進学を理由にした養育費の増額、支払期間の延長の請求について
子が大学に進学する前に養育費の額について争われた場合、調停で大学卒業までの養育費の支払いについて合意できれば問題ありませんが、審判となった場合は原則とて成人するまで(20歳まで)しか認められません。これは、その時点で大学に進学する予定があっても、実際に大学に進学するか否かは確定していないので、その時点で養育費の支払いを大学卒業まで義務付けすることはできないとするものです。そうすると、支払いを受ける側としては、大学に進学した時点、あるいは20歳になる前にあらためて審判を申し立てる必要があります。
そして、あらためて審判を申し立てた場合、大学進学が民法880条の事情変更に当たるか問題となりますが、事情変更に当たりうると考えられます。もっとも、大学進学すれば必ず養育費の増額や支払期間の延長が認められる訳ではなく、義務者が大学進学に同意していたか、義務者も大学に行っていたか、義務者に相応の資力があるか等を総合考慮して決定されることになります(東京高決平成22年7月30日・家裁月報63巻2号145頁、東京高決平成29年11月9日・判タ1457号106ページ、大阪高決平成30年3月15日・判タ1457号91頁)。なお、当事者の事情を総合的に判断し、大学進学前でも大学進学を条件として大学卒業時の22歳までの養育の支払いを認める審判がなされることもあります。