焼き鳥屋の内装工事について瑕疵があるとして、内装業者に修補費用、逸失利益、弁護士費用等を請求した事案(東京池判令和3年8月24日)

1 事案の概要

 本件は、焼き鳥店を開業するために店舗内装工事を発注した者が、内装業者に対し、瑕疵があったなどと主張して、瑕疵担保責任に基づく修補に代わる損害賠償及び債務不履行に基づく損害賠償として、修補費用、逸失利益、弁護士費用等を求めた事案。

2 裁判所の判断

(1)瑕疵について

 図面と異なる設備が設置されていたこと、機械換気設備の設置については、行政の運用上、業務用の厨房においては業界団体である一般社団法人日本厨房工業会認定の換気扇を使用するよう指導されており、業務用厨房で設置する機械換気設備は業界団体認定品を使用することが施工水準となっているところ、設置された換気扇が認定品ではないこと、東京都火災予防条例上の義務づけられている設備を設置していなかったこと等が瑕疵とされた。

(2)損害について

 修補費用(現場経費約7%、諸経費約11%含む)、7日間休業(工事前後の準備期間含む)の逸失利益、弁護士費用5%を認めた。

 なお、逸失利益算出の基礎となる金額の算出に際し、開業当初は売上げが安定せず、今後の営業のための経費も必要であることから、開業から1年が経過した以降の売上げや経費に基づいて逸失利益を求めるのが相当であるとして、開業から1年経過後の3か月の平均売上からその間の原価、流動費を控除した額をベースに7日分の金額を算出した。

3 コメント

 瑕疵の判断について、図面や一般的施工水準、法令をもとに判断しており、一般的な判断方法である。また、損害については、修補費用に一定の利率で経費を上乗せるするのが一般的ですが、現場経費も含めて諸経費として計上することが多いようです。