私道の利用について
私道とは、個人がその所有権を有し、通行に利用している道路のことを言います。所有権者が通行できるのはもちろんですが、道路であることから所有権を有してない者が通行できる場合があります。そして、現に、所有権者以外が利用している私道が多くあります。私道を通行するための権利としては、囲繞地通行権(民210条1項)、通行地役権(民280条)、賃貸借等の債権契約に基づく通行権、通行の自由(権)等があります。
囲繞地通行権とは、袋地の所有者が公道に出るために他人の土地を通行できる権利でその他人の土地の所有者の承諾は必要ありません。もっとも、その他人の土地の一部譲渡等により袋地ができた場合以外は、通行に際しその土地の所有者に償金を支払わなければなりません(民212条、民213条)。通行地役権は、他人の土地(承役地)を自分の土地(要役地)のために利用することができる権利で、設定契約をすることにより成立し、登記をすることにより第三者に対抗できます(民280条)。もっとも、利用経緯や利用状況により黙示の通行地役権の設定が認められる場合や時効により取得する場合もあります。また、登記が無くても、通路の存在が明確であれば、承役地を買った第三者に対抗できます(最判平成10.2.13)。
通行の自由(権)とは、建築基準法の道路でいわゆる2項道路や位置指定道路などは、公法上の義務として道路を勝手に廃止した変更したりすることができないので、その反射的利益として通行の自由が認められます(最判平成9.12.18)。もっとも、歩行だけか、自転車や自動車の通行まで認められるかはその使用状況等により異なります。なお、通行の自由(権)が認められるためには、現実に道路が開設され、それが建築基準法上の道路であり、通行が日常生活上必須であること等の条件を満たすことが必要です。