子の面会交流に相手方が応じない場合の対応方法について
調停又は審判により面会交流について定められたにもかかわらず、相手方が面会交流に応じない場合、①家庭裁判所に履行勧告を申し立てる、②再度調停を申し立てる、③間接強制の執行を申し立てるという方法が考えられます。
まず、履行勧告とは、これを申し立てる者が調停又は審判をした裁判所に申し立てて行うもので(家事事件手続法289条)、申立を受けた裁判所の調査官が主となって当事者間の調整行うものです。もっとも、調整が整わない場合も少なくなく、対立が激しい場合などは実効性に乏しいと考えられます。
次に、再度の調停ですが、これは再度調停を申し立てるもので、裁判所を通じて話し合いを行うことにより、あらためて面会の条件をについて調整することになります。もっとも、調停が成立しても相手方がそのとおりに実行しないリスクがあることから、間接強制できるような調停条項の調書を作成しておく必要があります。
そして、間接強制は、調停調書や審判の主文の内容が単なる確認条項ではなく、間接強制できる内容となっていなければなりません。この点について、最判平成25年3月28日は、面会交流の日時又は頻度,各回の面会交流時間の長さ,子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合は,監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当であると判示しました。実際に間接強制が認められた裁判例を見ると、上記内容が具体的に特定されています。一方、面会方法等を細かく定めていても「●●程度」「●●を原則とする」などと幅のある表現のものは間接強制が認められていないようです。間接強制は、これを申し立てる者が調停又は審判をした裁判所に申し立てて行います。裁判所は相手方を審尋した上で間接強制を認める場合はこれを命じることになります(民事執行法172条6項、171条2項)。実際には、1回あたり数万円と定められることが多いと言われています。
その他には、相手方に慰謝料を求めて民事訴訟を起こすことも考えられます。