建築基準法上の道路の通行について
いわゆる2項道路(建築基準法42条2項)や位置指定道路(建築基準法42条1項5号)の建築基準法上の道路は、一定の条件の下で所有者以外の者の通行の自由が認められます(最判平成9年12月18日)。同判決は通行の自由について次のように述べています。「道路位置指定を受け現実に開設されている道路を通行することについて日常生活上不可欠の利益を有する者は,右道路の通行をその敷地の所有者によって妨害され,又は妨害されるおそれがあるときは,敷地所有者が右通行を受忍することによって通行者の通行利益を上回る著しい損害を被るなどの特段の事情のない限り,敷地所有者に対して右妨害行為の排除及び将来の妨害行為の禁止を求める権利(人格権的権利)を有するものというべきである」。なお、この事案は、私道所有者が位置指定道路の通行の妨害をしたため、利用者が妨害排除を求めた事案です。この判例の後も2項道路についても同様の判断がなされています(最判平成12年1月27日)。なお、自動車の通行まで認められるかは、道路の状況や従前の利用状況等により異なる判断となります。
建築基準法上の道路には、このほかいわゆる開発道路(建築基準法42条1項2号)というものもあり、開発道路の多くは市区町村に寄付をされ公道となることが多いのですが、公道から公道に接続していない等の理由により市区町村が寄付を受け入れず、私道のままとなっているものがあります。この開発道路も建築基準法上の道路であり、一定の通行の自由が認められてしかるべきものと考えられますが、一方で、開発道路は開発行為によりその区画内に道路を通したものですので、その区画の所有者以外に通行の自由を積極的に認める理由はないとも考えられます。2項道路と位置指定道路について通行の自由が争われた裁判例は多くありますが、開発道路について通行の自由が争われた裁判例については個人的に現時点ではまだ確認できておりません。