クレーム、不当要求等に対する対応について

 クレームというとマイナスな響きがありますが、顧客の正当な意見や要望に対して真摯に対応することは、サービスや商品の改善につながり、企業価値上げることにもつながります。一方、単なる個人の価値観の押し付け等による不当な要求に応じることは、対応する社員を疲弊させ、企業価値を落とすことになりかねません。
 顧客から何等かのクレームがあった場合、それが真摯に対応すべき意見や要望なのか不当要求かはすぐには判別できない場合も多くあります。そこで、企業としては、まずは、顧客からのクレームを無視することなく、また、狼狽することなく、しっかりと冷静に聴き取りを行うべきです。その際には、顧客の話す内容について、事実であるのか、意見であるのか、要求であるのか等について整理しながら聴き取ることが大切です。そして、事実については、いわゆる5W1Hについて聴き取りを行い、また、そのクレームの原因となった証拠品や現場についても確認を行い、事実関係を確定することが重要です。
 もっとも、顧客が速やかな対応や自分の要求に応じるよう求めるなど自分のペースで事を進めようとしてプレッシャーをかけてくる場合もあります。そのような場合も、事実確認をしっかり行った上で企業として判断するという姿勢を示すべきです。事実関係や責任の所在、損害の有無、程度、因果関係が不明な中で、安易に謝罪や賠償を口にすべきではありません。もっとも、企業側に不手際があった点については謝罪し、顧客の気持ちに寄り添うことは必要です。また、調査の結果、会社に責任があり損害が発生したと認められる場合は、合理的な範囲で損害賠償に応じる必要があります。
 なお、上記のような対応をする中で、顧客が大声をあげたり、脅すような発言をした場合は、そうした行為についてはやめるよう丁寧かつ毅然と対応し、業務妨害や身の危険を感じた場合は警察に連絡する旨伝え、必要に応じて警察の介入を求めるべきです。また、顧客が予告なく会社や店舗に来て執拗にクレームを行うような場合は、面会強要禁止や店舗来訪禁止等の仮処分の検討も必要となります。